20250418(金)
DUKE大学
▼日本酒のおいしさを教えてくれたのは、学芸大学の「あめつち」だ。オーナーの日本酒愛が接客時にもにじむどころか溢れている。なもんだから、たいして飲めないくせに「辛口でスッキリしたものを」なんて、カッコつけて頼んでしまって以来、このお店でしか日本酒を飲んだことがない▼古着のおもしろさを教えてくれたのは、学芸大学の「M」だ。オーナーの室井くんと仲良くなる前には、アルバイトの子が何人かいたが軒並み感じのいい子ばかりだった。室井くんはのちに結婚してその奥様も店に立つが、夫婦揃って古着愛が溢れまくっている。いや、服愛か。「M」では古着だけでなく新作も充実しているからだ。最近購入したものではサロモンの新作スニーカーと、胸に〝DUKE〟とプリントされた古着のスウェットがお気に入りだ▼3時間にも及びロングな打ち合わせが終わったある夜。そのスウェットを着て、訪れた店は1階席と2階席がある焼き鳥屋だった。今宵の相棒は関くん。野球のはなし(藤川阪神がなかなかに魅力的な野球をしている気がするという僕の私感)やサッカーのはなし(関くんはサッカー好きなのだが推しの鹿島アントラーズが絶不調らしくこっちのはなしは一瞬で終わった)、そのほかどうでもいいことをあれやこれやと話せた夜だったのだが、ふと2階に行きたくなった。トイレが1階にないからだ▼あいにく男子トイレには先客がいたので並んでいると、同じくトイレ待ちのほぼ同世代の男性が話しかけてきた。「ご出身がDUKE大学ですか?」。一瞬、なにを聞かれているのかわからず「はい?」と答える僕。どうやら、僕のスウェットに施された〝DUKE〟の文字を見てそう聞いてきたようだ。(そんなわけあるかーい!)と内心でほくそえんでいると、その人は酔っているからだろう、「はい?」の語尾の「?」を無視ししてこう続けてきた。「やっぱりそうですか! 僕はバークレーなんですよ!」。トイレはまだ使用中だ。僕の番はまだだ。バークレーのその方には申し訳ないが、こちらも酔っているのでおもしろくなってきて、のっかることにした。「そうなんですね。バークレーって、カリフォルニア大学バークレー校のバークレーっすよね?」「そうそうそう。ジェイソン・キッドと同級生です!」。すごい角度からすごい固有名詞がとんできた。が、持つべきものは友だ。ライターの後輩にバスケ好きなやつがいたのでジェイソン・キッドがNBAでも活躍したすごい選手であることを知っていたのである。とはいえ、ジェイソン・キッドがバークレー出身とは知らなかったが「おーー、あのジェイソン・キッド!」と熱く返事をする僕。目を輝かせた、その人が続ける。「デュークも大学バスケが強いですもんね! 誰と同級生ですか?」。(え?そうなの?)。〝我が〟デューク大学がバスケ強豪校だなんて知るわけもなく、どうしようかなぁと思っていたら、トイレのドアが開いた。「お先です」とその夜のワン・オン・ワンは逃げ切ったのだった▼阪神タイガースを応援することのおもしろさを教えてくれたのは友達の西村くんだ。って、だめだ。DUKE大学のインパクトが強すぎて、文章が続けられそうにない。ちなみに、あとで調べたら、「現役のデューク大学出身選手だけでスタメン組んでみた!」なんて動画がyoutubeで13万回再生されていた。すごいんですね、DUKE大学のバスケのレベルって。みなさま、よい週末を(唐澤和也)