20250411(木)
春を追いかけて2025
▼東京・学芸大学のとある公園の最期の桜が咲いて散った。最後ではなく最期。どうやら、その土地にマンションかなんかが建つようで、桜の木が撤去されてしまうらしい。施主の好意で、せめて最期の桜が散るまではと撤去時期が延期されたのだそうだ。最期の桜。格別の風情。そもそも格別じゃなくても桜が好きな身としては、風情や人情を感じられたのだった▼そんな桜好きとして振り返るに、2025年はたまらない春だ。なかでも、ホームタウンではない大阪で2度も桜を眺められたのは思い出深い。まずは、4月15日に更新予定の月刊ロゴス4月号「春とチェアWEST♪」でのこと。桜の見事さで有名な京都のキャンプ場は「ひとひらも咲いてないよ」(キャンプ場担当者談)という残念さで、以後の大阪や兵庫の旅も基本的には低調だった。「桜が低調」という表現はあまり目にしない気もするけれど、だからこそ大阪城公園の一部で咲きはじめていた桜は、そのありがたさもあって最高だった。同企画は「このチェアに座ってくれませんか?」というやや無茶振り企画でもあるので〝誰に座ってもらうのか〟というチョイスが重要かつ、座ってもらえるか否かの運が大切。はたして自分が逆の立場であったら、突然声をかけてきた親子のようなおっさんと若い女子(同企画の相棒は大卒1年目の女子社員)のお願いにうなづくだろうか? 否、うなづかない。というか、なんだったら無視するかもしれない。なのに、うなづいてくれた人がいたのだ。たとえば、生後間もない赤ちゃんとピクニックに来ていたふた組の母子(お母さんが会社の同期らしい)の写真は、あまりにも素敵で、4月号の表紙的1枚となる▼2度目の〝大阪桜〟は、お世話になった人たちふたりに会う徒歩移動の途中でふらりと見かけた夜桜だった。もちろん、〝大阪桜〟などという桜の品種はなく、いま適当に書きたくなっただけなのだが、ふらり、なので桜目当てではなかった。いまの大阪のホテル代は異常なほどに値上がり傾向にあるので、梅田という繁華街から徒歩20分と離れたところの宿を選んでいた。理由は、端的に安いからだ。そんな安ホテルから待ち合わせのお店までの徒歩移動中に、ふらりと夜桜が見られたのだ。東京と同様に大阪でも外国人の方が多いのだけれど、みな一様に、夜桜をスマホのカメラで撮影していた。いわゆる桜の名所的なところじゃなくても、この花たちが美しいのは日本の誇るべきところなのかもしれない▼ところで、僕の2025年の目標漢字は「雲」である。おそらく、全国32人ぐらいの「からの週末」愛読者ですら忘れているひと文字だとは思うのけれど、これがまぁ、「雲」にしてよかったと心から思う今日この頃だったりします。というのも、2月のものすごーく暇な時期(毎年この時期が一番暇でかなり幸せだったりする)に、大阪行きを決めていたのだ。重要な会議があり、それにあわせて前のりの夜と会議終わりの夜とお世話になった方ふたりと会う予定を組んだのだけれど、その後のバタバタを鑑みるに(もしも忙しくなってから予定を決めていたとしたら、はたして俺はおふたりと会おうと考えただろうか?)ということ。たぶん、そんな考えには至っていない。(暇な時に決めておいてよかった!)と痛感させられるつ、なぜにそのようにふわりと動けたかといえば「雲」のおかげ。自分で決めたとはいえ目標漢字に感謝した春だったのでした(唐澤和也)