20241101(金)
岡田球児

▼おちおちと痛風なんぞを患っている場合ではなかった。我が足の甲の激痛にふりまわされてる間に、我が阪神タイガースに激震が走る。岡田監督退任、藤川球児新監督誕生。岡田さんの退任はファンの間でも「体調が悪そう」との評もあり、まったくの予想外ではなかったし、火の玉ストレートこと藤川球児の監督待望論もそれなりにあった声ではある。でもでも、せめてあと1年でいいから、背番号80といっしょに阪神タイガースを応援したかった▼岡田監督は厳しい指揮官だった。筆頭はサトテルこと佐藤輝明というドラフト1位のスーパースター候補への接し方。今シーズンも、打撃うんぬんではなくてフォアザチームの精神が見えないことにご立腹、即2軍に落としていた。なにかとやさしい令和といういまの時代だから、この処遇には賛否両論があった。令和に精神論はいかがなものかと。昭和な僕はいやいや、時代に関係なく勝負事の肝は心技体ですからと大賛成だった。岡田監督は、サトテルだけでなく、大山選手や森下選手という主力選手も2軍で調整をさせてもいる。まぁ、大山選手はあまりにも打てなくて自らの申し出だったようだけれど、3番、4番、5番というクリーンナップを打つ主力を2軍に落とすだなんて、前代未聞であった。でも、それが功を奏す。選手たち本人の努力もあったと想像するが、シーズン終盤で優勝争いを演じられたのは、この3人の打棒が復活したからこそ。つまり、岡田さんの〝監督力〟だ。というか、岡田監督じゃなく、凡庸な人がトップだったら、Aクラス入りすら難しかった▼けれど、矛盾するようだが、球児監督には期待しまくっている。直接会ったこともないし、マスコミの報道や球児監督のYoutubeを見聞きして感じただけの超主観だけど(すっごいいい人だけど、どこか変わってる)との印象がある。自分の職業に寄せて考えるのなら(インタビューが難しそう)な気がする。そこがいい▼藤川球児という選手は、高卒ドラフト1位という逸材ながら、先発時代は芽が出ずにセットアッパー&抑えに転向して大成功、メジャーにまでのぼりつめた人だ。メジャー挑戦前の日米野球では、並み居るアメリカの超一流たちをキリキリ舞い(まさに!)させていた。そんな全盛期の挑戦ではなかったから、残念ながらメジャーでの成功は収められなかったけれど、その後、日本に帰ってきて、地元・四国の独立リーグで投げてから阪神復帰という道程も監督としての糧になっているはずだ。苦労という漢字に含まれる「苦味」をちゃんと知っている。栄光と挫折。優しさと厳しさ。経験による視野の広さ、それでいて監督としては若い。いい人だけど変わってる。藤川監督には、そんな二律背反性という魅力がある。単なる昭和ではなくただの令和ではない、新しい阪神の野球をみせてくれる予感がする▼にしても、おっさんになったものです。野球は昔から好きだったけれど、選手じゃなくて、監督に注目するようになるだなんて。自分の立場もフリーランスライターという自由なものから、仕事によっては「編集長」という責任あるポジションに変化しているからか、いわゆる「リーダー論」に興味を持つ今日この頃。でも、そんなおっさんライフが嫌いじゃなくて、むしろ、若い頃に想像していたより格段におもしろい。そういえば、痛風発症から5キロ痩せたのもなんだか笑えてくる。痛くて5キロ痩せるって。おっさんだからこそのこの体験も「痛風ダイエット」とでも呼んでおもしろがることにします(唐澤和也)