20241023(水)
風と涙と虎に翼

▼〝こんなはずじゃなかった〟先週から、1週間とちょっと。なぜ、ちょっとかというと、尿酸値の血液検査が昨日あったからだ。その結果をこちらにも残しておきたかったのだけれど、結論的にTHE微妙であった。9月中旬の発症時が「9.7」だったのに対して「7.4」。痛風に無縁だったり健康に興味のない方には「で、その数値のどこが微妙で、どうなればよかったの?」などと、尿酸値の意味するところが意味不明だと思う。ちょっと前までの僕がそうでした。先生いわく「7を切らないとダメですね」とのことで、WEB記事にも「尿酸値7以上は痛風予備軍」とある▼微妙だ。THE微妙だ。これぞ微妙だ。「7」を切るまであとちょっととも言えるし、あんなに頑張ったのにまだダメなのかよという気持ちもある。正直、後者の気持ちのほうが強い。どう頑張ったかというと<いやはや、よっぽど痛かったのだろう。食生活がガラッと転機った(変わった)。いや、変えた。前回、病院に行った9月17日以来、酒を口にしていない。大好物だったハーゲンダッツのアイスクリームをはじめ、甘いものも然り。揚げ物は控えて、基本和食で、野菜多め。約2週間で3キロ痩せた。リバウンドが怖くはあるけれど、それでもいったん極端にふってみようと決めたのは、10月22日の検査まで、自分が痛風発症時よりよくなったのかどうかがわからないからだ>と2週前のコラムに記していたとおり。さらに追加で、ここから検査までの2週間。同様の食生活の継続に加えて、自宅から事務所までのチャリ通勤をやめて片道約25分をとぼとぼと歩いてもいた。おかげで、さらに痩せて4キロ減。ちなみに、食生活を転機ったのはプリン体対策だけでなく、BMI値を下げたかったから。BMI値が高いと尿酸値を下げにくくするらしく、春からの不摂生期に4キロ太っていたという自覚があったので、その説にものっかってみたのだった。なのに、「7.4」。近くて遠いあと「0.5」。まるで、アスリートがオリンピックの標準記録にあと一歩およばなかった時のような気分。いや、たかだか1か月の頑張りでそれは失礼なので、まるで、アスリートがオリンピックの標準記録にあと一歩およばなかった時の気分の何億分かの1の気分。次の検査は12月17日だそうです▼さて、冒頭の〝こんなはずじゃなかった〟のは、「痛風3部作」などと自分で書いたくせに、いけしゃあしゃあと続きがあったことと、3回目の先週は「痛風後の意外な変化」をテーマにしようと思っていたからだった。書く前はたしかにそう思っていたはずなのに、方向音痴な筆はあらぬ方向へと旅したけれど、ようやく元のサヤに戻ります。2回目の文章の最後にはこうあった。<アルコールは一滴も口にしておらず、NOハーゲンダッツ、食生活もヘルシーそのもの。となると、どうなるか? 約2週間で3キロ痩せただけでなく、訪れた変化とは?>▼ハーゲンダッツはともかくとして、アルコールを口にしなくなってからの変化は「変化することの恐れ」が生じたことだった。わかりにくいですよね? 具体的に説明してみます。アルコールを口にしていた時代は(といっても1か月前だけど)、たとえば金曜日の夜に酔っ払ったとすると、その勢いでNHKの朝ドラ『虎に翼』5話分を一気見すると言うのが至福の時だった。そして、まんまと号泣していた。いわゆるデトックス効果が半端ない至福の時でもあったわけです。でも、酒を飲めなくなってこんな恐れが生じたわけです。(あの涙はお酒の効果で感情が昂っていたのではないか?)とか(シラフで見たらぜんぜん泣けなかったらどうしよう?)とか。そんな不安に軽くおののきながら、シラフで見た『虎に翼』。最終週のひとつ前の週でした。結果、号泣。というか、いまこれを書くために見直していて二度見的二度泣。「純度の低い正論は響きません」「あたしは救いようのない世の中を少しでもマシにしたい」「すべて正しくなきゃ声をあげてはいけないの?」「何回クソって言うんですか?」(最終週だけど)「いけ、山田」。本ドラマを見ていない方からすると「はて?」だとは思いますが、自分のメモがわりにパンチラインを残しておきます▼というわけで、シラフでもちゃんと泣けたのはひと安心なのだけれど、歩き始めた効果のようなものあったりして。それはまた別の機会に(唐澤和也)