20241005(土)
風が吹いたらやっぱり痛い

▼振り返って「あれが人生の転機だった」と思う瞬間がいくつかあるが、いままでは若い時のそれだった。大学卒業後、わずか3か月で会社を辞めて大学生時代のアルバイト先に戻ったおかげで師匠に出会えたりだとか、わけあってお世話になっていた編集プロダクションを辞めたからこそはじめての単行本に携われるチャンスをもらえたりだとか。最近、再読している漫画『ブルージャイアント』シリーズの主人公のように、人との出会いや縁に支えられて人生がまわっていたという実感がある。だがしかし、おっさんになったいま訪れた「人生最大の転機」は、痛風という痛みだった▼いやはや、よっぽど痛かったのだろう。食生活がガラッと転機った(変わった)。いや、変えた。前回、病院に行った9月17日以来、酒を口にしていない。大好物だったハーゲンダッツのアイスクリームをはじめ、甘いものも然り。揚げ物は控えて、基本和食で、野菜多め。約2週間で3キロ痩せた。リバウンドが怖くはあるけれど、それでもいったん極端にふってみようと決めたのは、10月22日の検査まで、自分が痛風発症時よりよくなったのかどうかがわからないからだ▼なぜだか、僕のまわりのおっさん陣は、殊更に痛風情報を求めてくる。おそらく、僕をよく知る人でお酒好きな人や、不摂生との自覚ありな人は「唐澤ごときで痛風になるだなんて自分もやばいんじゃないか!」と感じたのだろう。たしかに、元々酒に強いタイプではないから酒量はたいしたことがない。春までは週に1回4キロをランニングしていたし、バイク旅企画で1171キロを走破した時には、体脂肪が4%も下がっていた。だが、5月から9月までの暮らしぶりは、痛風につながる不摂生ぶりであった▼よっぽど痛かったのだろう。ありとあらゆる痛風情報を調べたのだが、諸説入り乱れてはいるので、もしも、ちゃんとした痛風情報をお求めの方はしかるべき文献をあたってくださいね。以下は、あくまでも唐澤が感じた痛風の素です▼そもそも、痛風=プリン体が原因だと僕は思っていたのだが、それはそれで間違っていないけど、「じゃあ、どうする?」とリアルに向き合うとプリン体はちょっと手に負えない感があった。理由はふたつ。ほとんどの食べ物にプリン体が含まれていること。つまり、プリン体を採らないということは不可能に近い。そして、人体内でもプリン体が生成されるということ。しかも、体内で作られるプリン体は70%から80%ほど(このへんが諸説ありでした)で、ということは、食物からの影響も大きいけれど、30%から20%ということになる。そもそもプリン体=悪ではなくて、細胞の増殖などに必要なものらしいし。なので、過剰に取りすぎないということがポイントだ。そのうえで、痛風とリアルに向き合うにはどうすればいいのか。答えは「尿酸値を下げる」。10月22日の検査まで痛風が改善したかどうかがわからないのは、尿酸値を知るには血液検査が必要だからだ▼5月から9月までの僕は、100%果汁ジュースが大好きだった。1日平均500ミリリットル、多い時は1リットルぐらいを飲んでいた。これがいけないらしい。たとえばコーラをカブ飲みするのといっしょで果糖は尿酸値をあげる。そして、おだし。5月から9月までの僕は、あるお店のつけ麺を週に1度、多い週は2、3度通っていた。スープ割をもらってスープを全部飲み干して。これがいけないらしい。煮干しはプリン体が多く含まれる食材で、尿酸値をあげる▼そして、アルコール。ビールがプリン体を多く含んでいるのは多くの人が知るところだが、アルコールそのものが尿酸値をあげてしまうという。なのに、5月からの僕は……である。先述のとおり、元々お酒が弱いので1回の酒量は大したことなかったが、頻度が増えていた。週5から多い時は7、つまり毎日。仕事を終えて事務所から自宅に戻り、350ミリ缶のビール1本と果汁率の高いチューハイを1本。至福の時であったが、飲むとおなかがすき、ポテトチップスをまるっと1袋だの自炊のパスタだのをペロリと食す日々。ひどい夜はさらにプラスしてハーゲンダッツ。5か月で4キロ近く太った。完全なるオーバードーズ、すなわち不摂生だった。さらに、自己診断最大の痛風の素は運動不足だ。自宅から事務所までを自転車で通っていたから、ほとんど歩かない日々だった▼というわけで、この2週間は、その頃の逆に完全に振り切っている。「とにかく水を飲んでください。できれば1日2リットル」という先生の言葉を守り、自宅から事務所まで片道25分ほどを歩く日々。そして、アルコールは一滴も口にしておらず、NOハーゲンダッツ、食生活もヘルシーそのもの。となると、どうなるか? 約2週間で3キロ痩せただけでなく、訪れた変化とは? 次週に続きます(唐澤和也)