20240803(土)
虎と煙草
▼阪神タイガースが好調だ。昨年の日本一から、春の開幕、途中7連勝はありつつも、強いんだか弱いんだかわからない時期を経て(昨日までで)8連勝。少なくともこの8日間は、結果なんてわかってんのに『プロ野球ニュース』をはじめとする各種動画に浸る日々です。勝負どころの9月の神宮・対ヤクルト戦も西村くんがチケットを取ってくれて参戦が決まった。ささやかな楽しみである。いや、ささやかじゃないな。かなりの楽しみである。そして、同じく、かなりの楽しみであるドラマ『虎に翼』風にいうと「はて?」でもある▼「はて?」の理由は(こんなに阪神ファンだったっけ?)だ。何度かココでも書いたけれど、ふと「はて?」と思う瞬間がやっぱりあって、よく言えば「救われている」で、悪く言えば「依存している」。要はバランスなのだろうけど、いまの時期は完全に前者の「救われている」状態だ。なにしろ(ありがたいことに)繁忙期がずーっと続いていて(野球風に言うと)12回で終わりというルールのNPBではなく決着がつくまで延長戦が続くMLB状態。そんな時の阪神タイガースの勝利や、『虎に翼』の丁寧な物語の描き方への感動や、寝る前にチラリと読む『チ。』などの傑作漫画に「救われている」のだった▼逆に、「依存している」パターンは、阪神の敗戦に引っ張られて生活のすべてが嫌になったり、ネガティブになってしまう時。そこそこの強度の阪神ファンになってからの数年間だけを振り返ってみても、そういう時期がけっこうあった。2022年の開幕9連敗の時なんて、当時いっしょに働いていた山岡に迷惑をかけるレベルで負のオーラ全開だったと思うけれど、いま気がついたのは、繁忙期には案外とそうならないなぁということ。今回もそうだ。先述のように今年の阪神は〝弱いんだか〟な時期もあったので、敗戦に引っ張られて生活のすべてが嫌になってもおかしくなかったのに、そうはならなかった。『プロ野球ニュース』なんて見なきゃいいだけの話。情報は、スポニチの内田雅也さんの原稿を読んで、膝を打って前を向く程度。人間は、時間や心に余裕があるほうが「依存している」のかもしれない▼それでいうと煙草は、時間や心の余裕なんて一切関係なく、無条件の「依存している」だった。本当にやめられてよかった。もしも、2020年4月1日に卒煙していなかったら、非喫煙者だった山岡が卒業してひとりのこの事務所は吸い放題だったはず。連日連夜、白煙がたち込め、狼煙のように消えない煙が立ち込めていたことだろう。体調を崩していたかもしれない。怖い。でも、「依存している」状態の時は怖いだなんて微塵も思わなかったはずで、そういうことのほうが「よっぽど怖い」と書きかけて(本当にそうなのか?)と筆が止まった▼(じゃあ、依存しちゃいけないのか?)と自問自答すると、いいとか悪いとか以前に(人間ってそういうところがあるじゃん!)と言い返したくなる。いったい誰に対して言い返したいのかは皆目見当もつかないけど、いま思い出したのはケニー・アッカーマンの「みんな何かに酔っ払ってねぇと/やってらんなかったんだな……」というパンチライン。傑作漫画『進撃の巨人』の後半を彩る人物の言葉である▼ケニー・アッカーマンは死んじゃったので答えてくれないけど、前向きな酔っ払いっていないのかな? 僕の場合、「仕事」に「救われてる」ことも「依存している」と感じることもあるけど、アッカーマンの言葉に倣うなら、前向きな酔っ払いを目指したいなぁと思った週末です(唐澤和也)