20240712(金)
徒然パンチ
▼なんだかずっと書いています。しかも、書籍2連発。決して書籍を中心に活動してきたライターではないというのに、まずは、7月25日発売予定の『1983年の「ラブコメ青春」少年サンデー』です。さらに、集英社の某プロジェクトも着々と進行中。駆け出しライターの頃の夢が「映画や舞台のパンフレット」と「書籍」だったことを思い出すと、そういう意味でもありがたいです▼そんなこんなで、書籍に集中するため(別名は言い訳)、ここしばらくは「再録」シリーズとして掲載してきたのですが、今週から復活です。再録に足りうる原稿がもうないという本音と、そして、原点回帰です。再録期間中を振り返ってみると、書籍の原稿を書いていたことしか記憶がない。日々、それなりにいろんなことがあったはずなのに、丸っと記憶がない。逆に言うと、ここに書くことで記憶が残るというか、大いに反省したりちょっとだけ自画自賛できたり、日々の暮らしのなかで流れてしまうことが止まってくれるんだなぁなんて思ったりなんかして。この連載のようなものには、いちおうのタイトルがあって「からの週末」というのですが、一番最初の原稿にはこんなことを書いておりました。「100%は無理だけど、誰かにではなく自分に向けての比率が高い、いわばメモ的なことを書けたらなぁと思う。日々の忙しさのなかでいろいろとすぐに忘れてしまうから」▼なんてことを、かっこつけて書いてから丸4年とちょっとの間に(ワンテーマで書いてみよう!)とか(ですます調はプロとして逃げてんのかな?)とか、よくいうと向上心で、雑にいうと飽きっぽいからとの理由で、文章のスタイルを変えてきたのですが、しばらくは原点回帰の(誰かにではなく自分に向けての比率が高い、いわばメモ的なこと)を書いてみようと思います。日記みたいに、徒然なるままに、とくにテーマを持たずに▼小学館の書籍仕事は、昔からずっとお世話になっている編集者の三上さんの企画でした。漫画家からの信頼が厚い三上さんにしかできないであろう書籍です。なんと、青山剛昌、高橋留美子、あだち充という小学館ビッグ3のインタビューが実現したのですから。そもそもは、2009年のムック本がベースで、最強=週刊少年ジャンプにサンデーが肉薄した時期の連載作家9人に1983年を振り返って(あの頃は……)などを語ってもらうというもの。さらに今回、新規のインタビューができたことで、昭和・平成・令和をまたぐ内容となったのが、いち漫画ファンとしても(すげぇな!)と震えます▼あ、このことこそ、自分へのメモですが「早く三上さんに資料として借りたコミックスを返却するように!」。いやはや、さすがはビッグ3。手がけた作品数が半端なくて、いまでも我が家には青山・高橋・あだち作品が山積み状態です▼もしも、天才ギャグ漫画家の赤塚不二雄が漫画家にならずに漫画編集者になったらこんな人なんだろうなぁと僕が想像するのが三上さんで、ひとことで言うと軽やかな人。そんな軽やかな編集者である三上さんだからこそ、ひとつだけ心の深いところに留めとかなきゃダメだぞなやりとりがありました。校正者の赤字が戻ってきた時のこと。ライターを主語するとですが、校正者の赤字には相性があって、端的にいうと(細かいなぁ!)とムカつく人もいれば(細かくみてくれてありがとうございます!)な方もいる。今回は完全に後者で、ありがたい系の校正者だったのですが、ある一文でその方が引っかかって「?」を付けられていたんですね。それをしゃべって説明しようとした僕に三上さんはこう言いました。「それを4000人全員に言って回るの?」。4000人というのは今回の書籍の初版部数なのですが、はっとさせられた僕は、すぐにしゃべってわかる言葉ではなく、読んでわかる言葉に修正したのでした▼ところで、ずいぶん前に見た『ゴジラ −1.0』がまったくダメだったことも忘れぬうちにここに書いておきます。ちょっとダメじゃなくて、まったくダメでした。さすがに(みんながここまで絶賛してるのに、なぜ俺はダメなんでだろう?)と考えたので、そのこともまたいつか徒然なるままに(唐澤和也)