20230310(金)
アレについて
▼雲泥の差とはこのことです。もしくは花と塵、あるいは蝶と蝿ぐらいの差がある感覚です。とってもいい感じなんです、春の阪神タイガースが。もちろん、開幕すらしていないいまの時点のお話ではありますが、振り返れば、昨年の今頃は泥で塵で蠅でした。前任監督が春季キャンプイン直前に「今年で辞めます」宣言をするという前代未聞の逆サプライズ。商店街で見かける閉店セールじゃないんだから、そんな宣言にプラスの効果なんてあるわけがありません。結果、セ・リーグのワースト記録となる開幕9連敗。思い出したくもない、泥で塵で蠅な春でした▼ところが、2023年は、雲で花で蝶なのです。野村克也、落合博満、星野仙一、仰木彬、そして岡田彰布。僕が好きなプロ野球監督は、タイプは違えど勝ちにこだわる人たち。ところが、阪神の前任監督は、よく「楽しむ」と口にしていたことに違和感がありました。もちろん、「楽しむ」というキーワードは、野球に限らず令和のいまの重要なキーワードのひとつで、それ自体はまったくもって賛成なのですが、じゃあ、プロのアスリートにとって一番の楽しみは「勝つこと」だと思うのです。前任監督だってそんなことは百も承知だったとは思うのですが、少なくてもファンとして見る限り、勝ちありきの楽しむであるとは感じられなかった。それが違和感の素でした▼プロ野球最高の勝つ=優勝なのですが、勝ちにこだわる岡田さんは「優勝」を禁句として、アレと言います。理由は選手に余計なプレッシャーを与えないため。ほかにも、選手よりもコーチに厳しかったりするのも好印象です。おそらく、岡田監督は、次の監督候補を育てることとコーチ陣の質をさらに向上させて勝てる組織作りをミッションにしているのではと感じます。先のWBC日本代表との壮行試合でも、コーチ陣はベテラン投手陣の起用を提案したみたいなのですが、これをバッサリ。才木、富田、西純という若手投手にチャンスを与えます。結果、才木投手と富田投手が〝異次元〟のスーパースター・大谷選手に衝撃的な2打席連続の本塁打をあびます。けれど、才木投手は悔しさを隠さず「レベルの違いで済ませたくない」と語りました。よし、と。それだよ、と。勝ちありきの楽しむことを才木選手の言葉から感じとれたのでした。今シーズンの才木投手は二桁勝ってブレイクすると勝手に思いこんでいるのですが、長いシーズンが終わって振り返った時の彼の飛躍のきっかけのひとつは、間違いなく、スーパースター大谷選手に打たれたあの1球となる予感がします▼さて、忘れものをした小学生ばりの急旋回で、話は変わるのですが、じゃあ、個人的なアレってなんだろうなぁと、アレコレ思案してみるに、アレに決定しました。電気圧力鍋です。今年の目標漢字ひと文字が「風」でして、これがまたふとした時に「風のように生きるってどういうことだろう?」と感じるのです。風って意外と難しい。なので、難しいということは、風のようには生きてこなかったんだなぁと逆説的に考えることにしたのでした▼でも、そうは言っても、風ですから。岩のような頑固さではなく(ま、とりあえず昨年までならやってなかったことでもやってみますか?)といった気楽さで、行ったことのなかったお店に入ってみるとか、持っていない色のスウェットを買うとか、まるで「しいたけ占い」での女性向けアドバイスのような日々を重ねていたのです。じゃあなぜに電気圧力鍋だったのか? クレジットカードのポイントでした。昨年までは商品券と交換していたので、風である今年は、商品券はなしに決定。じゃあ、なにがいいかなぁとパラパラとページをめくっていたところにピンときたのが電気圧力鍋だったのでした▼もちろん、人生初圧力鍋です。そして、まんまとワクワクしております。風っていいもんですね。リアルな風もあたたかさをまとうようになってきましたし、明日明後日とWBCの日本戦を楽しみながら「電気圧力鍋 レシピ」で検索してピンときた「手羽黒酢煮」や「いわしの梅煮」や「タコのトマト煮」などなどをアテにしようと思っとります(唐澤和也)