20220717(日)
エムイーエムオー

▼メモって宇宙だ。時に意味不明な内容もあるけれど、そんなカオスメモも含めてゆるーく振り返ってみます▼「一人女子会歓迎!」。地元の居酒屋の看板に元気よく書かれていた言葉。思わずメモに残しながら、一人きりの女子会はもはや〝会〟ではないのではとツッコんでいたけれど、でも「一人飲みじゃなくて、一人女子会って言葉ならちょっといいな」という人もいるかもなぁと思い返す。だとしたら、言葉の力ってやつだ。案外、いいコピーなのかもしれない▼「幸せの三角形」。過去の自分のメモを振り返って再度書き留めた言葉。インタビュアー、取材される人、読者。その3者を点で結んで三角形を作ったときに、いびつな二等辺三角形ではなく、正三角形になれたなら。それは、素晴らしきインタビューではないか。なーんてことを考えていた時期があって、その通りだといまの自分も思ったのだけれど、意外とそれを実現するのは難しい。取材される人があまり聞かれたくない(幸せではない)ことのほうが読者にとってはおもしろかったりすることもあるし。でもだからこそ、ごく稀に「幸せの三角形」なインタビューができたかもしれない手応えがある時は、やけにうれしかったりする。そして、過去の自分では気付けなかったけれど、編集の仕事をしていても「幸せの三角形」理論は応用できそう▼ところで、まったくの偶然で「一人」「三角形」と1と3という数字にまつわるメモが続いたからには、2を無視するわけにはいかない。携帯のメモ機能は検索が簡単なので「二」と入れてみる。はたしてどんなメモを再発見してくれるのか。「バニーガールが犬を見て笑ってた」。ん? このメモのどこに「二」があるのか。あ、漢数字の二ではなくて、カタカナの「ニ」を検索ワードに選んでしまったのか。というか、そもそも、「バニーガールが犬を見て笑ってた」というフレーズはメモるほどの価値があるのか? 酔っていたのか? 2021年11月29日の私はカオスだったご様子▼「落語ってすごいかも?」。「漫才もコントも、まくらにはフリトークも、全部入っている!」。落語のまくらとは、本ネタに入る前の導入的なトークのことなのですが、それにしても、いつ、こんなメモを残したのかと記憶を巻き戻すと『AーSTUDIO』のゲストがコント師のシソンヌだった時だと思い当たる。彼らの好きな先人が私も大ファンなシティーボーイズ(大竹まこと、きたろう、斉木しげる)だったことが妙にうれしかった。だからシソンヌのコントも好きだったのかぁ、間接的ではあるだろうけどコントにも伝承はあるんだなぁ、からの、落語の魅力に思考がとんだ。おもしろい落語家のおもしろい噺は全部が入っているのがすごいなぁ!とひとりで腑に落ちていたメモ。でもたぶん、そんなこたぁ既に多くの人が語っている気がする▼「女の子が怒っていたら、それは泣いていると思ったほうがいい」。なるほど! 『人志松本の酒のツマミになる話』で貫地谷しほりの名言。なるほど! 思い当たる〝心のメモ〟が多すぎて、番組内での貫地谷さんの別名「お台場の母」というメモにも完全に納得です▼「返心」。「苛立ち。憎悪。慢心。驕り。少なくとも一度は己の心に返せ。省みろ。お前はちっとも完璧なんじゃないのだから」。うぉ、なんだこれ。今度こそ、酔っていたのか。酔っていたんだろうなぁ。むしろ、酔っていてほしい。シラフでこれをメモっていたらそっちのほうがきつい。要は「謙虚であれ!」と。「いい気になってんな、俺!」と自省させられた、酔っぱらた夜があったんだと思います▼「あなたの笑いの正体はなんですか?」「えげつない質問とワードセンス!」。NHKのドキュメンタリー番組『笑いの正体』第2弾からのメモ。女芸人の生き方というテーマで、上沼恵美子、友近、大久保佳代子、渡辺直美、ゆりやんレトリィバァといった出演者に、スタッフが事前にぶつけていた質問がこれ。あなたの笑いの特徴は?でもなく、あなたが自分の笑いでこだわっているポイントはなんですか?でもなく、「あなたの笑いの正体はなんですか?」という質問を本人にぶつけるのが、えげつない。この種の発想を自分が思いついたことがないのが悔しくて、番組の続きがまだ見られておりません▼というわけで、ラストのメモを。「僕が羊を数えて眠りについた頃、ウミガメは愛しの我が子を産む」。これだけ読むとカオスですよね? でも、いまからの僕は、まさにこのメモのような言葉を産み出すべく励む所存。噂の「サンライズ/サンセット」企画をいよいよ具体化する季節なのですが、連休明けに2度目の素材入れなのです。素材入れというのは、「サンライズ/サンセット」の編集者でもある僕が写真を選び、構成をデザイナーに伝えて相談する取材後の最初の一歩のようなプロセスなのですが、なぜに2度目かというと、1度目がびっくりするぐらいすべったから。編集者として応用できそうだと新たにメモしていた「幸せの三角形」でいえば、こちらの気合が入りすぎて、幸せからはほど遠い、二等辺三角形というか、私という視点からデザイナーさんまでが1キロぐらい離れてる超遠距離二等辺三角形というか。だから、肩の力を抜いて、最初の読者であるデザイナーにも伝わるよう、取材〝メモ〟を読み直して、構成案を練って、「二度目の素材入れ」(あ、2だ!)に向けてがんばりまーす(唐澤和也)