こもごも雑記
「最強無敵のカセットコンロ」

 1月1日、実家でゴロゴロしているとぐらぐらと建物が揺れ始めた。久しぶりに大きい地震が来たと思い速報を見ると、石川県で震度6の地震が起きていた。津波や火災もあって被害は大きく、改めて防災について考えるきっかけになった。

 ガスが止まったら、お湯も沸かせないし、調理もできない。というわけで一緒に暮らす彼氏にカッセトコンロを買うことを提案する。買おう!ということになり、オンラインショップでオプションの焼肉プレートとあわせて購入した。これなら防災に役立ち、焼肉もできる。

 さっそく届いたカセットコンロで焼肉をやることにした。いろいろなレビューを見つつ、購入したのは岩谷産業の「カセットフータフまる」という製品だった。専用ケースに入っていて、本体はごつく、見るからに頑丈な作りになっていた。しかも、ガンダムのザクみたいなグリーン色。とにかく存在感がすごい。

 1月下旬の土曜日、最寄りのスーパーが肉の特売日だったので、しこたま肉を買い込んだ。オージービーフのハラミ500g入りを2パックと、国内産の豚トロ300g入りを1パック。次の日曜日にサンチュ、レモン、焼肉たれ、ねぎ塩たれを買い足した。準備万全である。

カセットコンロを点火し、鉄板の上に肉をのせる。家で焼肉って新鮮だ。中火でも勢いがあるため肉が焦げてしまう。弱火にして、どんどん肉を焼いていく。

 すごいものを買ってしまった。まだ2024年がはじまって4週間くらいしか経っていないのに、「今年で一番いい買い物をした」と彼氏がよろこんでいる。

 部屋の中が焼肉の匂いで充満する。ハラミは赤身で脂分が少ないけれどやわらかく、何枚でも食べられそうだった。しかし、1パック分のハラミを食べたところでもうお腹いっぱいになってしまった。

 外食で焼肉店に行けば、7、8000円くらい平気でかかる。スーパーで食材を買って家で焼肉をした方がはるかにコスパいい。デメリットがあるとすれば、換気扇をまわして窓を開け放ち、消臭スプレーを隅々までしても、3日間くらいは焼肉の匂いとともにすごさないといけないことである。

 そしてお肉な週末は続く。2月上旬の週末には東北産の牛肉500g入りを2パック買って、2日間に渡ってしゃぶしゃぶをした。もはやちょっとしたフェスである。昆布でだしをとって、豆腐、ねぎ、しいたけ、えりんぎ、にんじんを鍋に入れて煮込む。具材に火が通ったら鍋をカセットコンロに移して、肉を存分にしゃぶしゃぶしていくのだが、これがめちゃくちゃよかった。肉をくぐらせる工程が楽しいし、野菜も一緒に食べられる。

 しゃぶしゃぶより焼肉の方が、脂が落ちてヘルシーらしいけど、ポン酢でさっぱり食べられてあたたかいしゃぶしゃぶは、寒い冬にマッチする最高の一品だ!と思った。「今年で一番いい買い物をした」と彼氏がこないだと同じようによろこんでいる。

 オプションのプレートを買い足して、たこ焼きやお好み焼きをするのもいいな〜と妄想をふくらませる。まさかカセットコンロひとつで、ここまで週末が楽しくなるとは。ちなみにこのタフまるはアウトドアで使うことを想定し、風に強い構造かつ重たいダッチオーブンをのせてもOK。最強無敵のカセットコンロが我が家にやってきたのである。
(文/山岡ひかる/2024/02/29)