こもごも雑記
「ディズニーランドに行きたくて」

「春」といえば、人はなにを思い浮かべるのだろうか。

 桜、お花見、入学式があがり、20番目ぐらいにランクインするのが、パンについてくるポイントを集めると白いお皿がもらえる、かの有名な祭り「ヤマザキ春のパンまつり」である。たぶん。
 いつ頃からやっているのか気になって調べたところ、スタートしたのは1981年とのこと。40年以上続く、伝統ある催しである。ちなみに公式HPには、歴代のお皿とキャンペーン内容がまとめられている。

 長年続けられているお祭りに関わらず、実は一度もお皿をもらったことがなかった。
 ひとり暮らしの時にポイントを集めた時は、数点足らないままキャンペーンが終了。あともう少しでお皿がもらえたのに!と若干の悔いが残ったが、今年は彼氏と協力してポイントを集め、「白いフローラルディッシュ」というフリルの入った白いお皿を1枚もらうことができた。

 企業の思惑どおりの行動する消費者のひとりという自覚はあるものの、やはり集めだすとおもしろいし、ほしいものがあれば応募したくなってしまうだから仕方がない。というわけで懸賞にハマっている。

 2月にもディズニーのパークチケットなどが当たる明治のキャンペーンがあって、対象となるヨーグルトをせっせと食べては応募券を集める日々を送っていた。
 ヨーグルトの蓋に券が付いているので、きれいに洗って乾かして、それからハサミで切っていく。応募用封筒は店頭で配布されている用紙を切り貼りして作る必要があり、ハサミとセロハンテープを駆使して渾身の1枚をつくりあげた。とんでもない労力であるが、私はなんとしてもディズニーランドに行きたかったので、当たりますようにと祈りながら郵送したのだった。

 ちなみに目玉のパークチケットとホテルが当たるコースに応募するには、なんと28枚もの応募券が必要になる。対象商品まできっちり決まっていて、400g入りのヨーグルトを買わなくてはならない。北アルプス並みのハードルの高さと言っていいだろう。

 振り返れば、私が人生ではじめて懸賞を当てたのは小学校の頃だった。愛読していた少女マンガ誌『ちゃお』のプレゼント企画でお弁当箱をもらい、うれしかったのを覚えている。
 大人になってからはPASCOのキャンペーンでお皿をGETした。そのほかにも、UNIQLOの初売りで数千円OFFクーポンをもらったり、山形の物産館で牛肉の味噌漬けを引き当てたりして、自分はわりかし運がいいほうの人間ではないか、そう思っていた。

 しかし、上には上がいる。彼氏の両親は海外ツアーを当てたというのだ。しかも、それで何ヶ国も旅行しているというから驚く。とてつもなくうらやましい。私だってアメリカやヨーロッパをただで旅行してみたい! いや、そんな贅沢は言わない。近場の沖縄でも北海道でもいい。ええい、とりあえず舞浜だ。ディズニーランドに行かせてくれ。

 例のヨーグルトのキャンペーンは、当選していれば賞品が届くはずだが、なんの音沙汰もなく月日がすぎた。取り急ぎ、舞浜には自分たちで行くことにした。
(文/山岡ひかる/2023.5.24)