からの週末20210722(木)
梅干しジャスミンやばい夏

▼梅干しがやばい。梅干しを作るために「梅子」というキットを買うのがここ数年の恒例なのだが、昨年まではプラスチックの平たいトレーにキッチンペーパーを適当に敷いて適当に干していたのに、今年は日本製のざるは空気が通って梅干しが呼吸できてさらにおいしくなると聞き、わざわざそこそこ値の張るざるまで購入しちゃうという梅干し作りへのワクワク感がやばい。2日干して、ひっくり返して、さらに2日干して出来上がり。今朝ひっくり返して3日目に入ったのだけれど、できたて=干されたての梅干し1粒目は、炊きたての白米の上に鎮座ましますことだろう▼そんな唾液インマイマウス状態で、パンの田島の絶品「たっぷリッチコッペパン」を買って事務所へ向かう。窓を開けて、窓の外のベランダに出して水をやるのはシルクジャスミンの木。この春に芽を出した明るい緑の葉に、くるっと丸まって留まる水だまりに夏を感じる。友人の柴田くんが事務所開きにプレゼントしてくれたものだ。このシルクジャスミンもやばいことになっていた時期があった▼2021年の年が明けてからこっち、東京には緊急事態宣言か、まん延防止等重点処置がでっぱなしだからいつのことだったか正確には思い出せないのだけれど、とにかくスタッフの山岡をリモートワークにしていた頃のこと。つまり、事務所には私ひとりという日々が続いていた。その時、それはもう見事にシルクジャスミンが枯れる。いや、これじゃジャスミンのせいみたいだ。その時、それはもう無惨にシルクジャスミンを枯らす。私がだ。ふっさふっさに生い茂っていた濃い緑の葉々が、かっさかっさの枯葉となり、生き残ったのはわずか1枚の葉っぱのみ。2週間なのか3週間なのか、一切の水をあげていなかったのだ▼たぶん、自粛生活や世の中のムードに心が荒んでいたのだと思う。そういえばその頃、3日間連続かつ日替わりで歴代の彼女にいかに私がどうしようもない男かを延々とダメ出しされ続けるという悪夢も見ていたから、そりゃあ荒みもするってもんだ▼そもそもが、ジャスミンは丈夫な木なので、1週間に1回でも水をやれば枯れることはないはずなのに、生き残り1枚って。友達からのプレゼントということもありわかりやすくへこんだ。自分のせいだというのに▼では、なぜ夏となった今日のはじまりに、ベランダで新緑を輝かせているジャスミンが在るのはなぜか? パンチラインのスタッフである山岡のおかげだった。「いけるんじゃないっすか?」。久しぶりに出社できたと思ったらすっかり変わり果てた姿になったジャスミンを見て彼女は冷静に言った。そして、行動に移る。私はその頃はまだ枯葉未満でもやがて完全なる枯葉となるものを未練たらしくもジャスミンとして愛でていたが、山岡は一掃。ばっさばっさと枯葉を落として例の1枚だけ生き残った葉っぱだけとし、つるんつるんのジャスミンの本当の姿をさらけ出したのだ。「ここから逆襲の物語をはじめましょう」なんて熱い言葉を、どちらかというとクールな彼女が口走るはずもなかったが、比べるまでもなく熱いタイプの私は、そのようなことを心の中で思う。その日から、山岡よりも事務所に先に来る私の水やりの毎日が始まった▼結果、見事に復活。最後の一葉以外の小さな小さな葉っぱが新たに生まれてきた時の感動といったらやばかった。定時に出社した山岡にその感動を告げると「よかったっすね」とやっぱりその受け答えはクールだったけれど▼スタッフのクールさとは裏腹に、熱い夏がやってきている。3日前から就寝時にはエアコンの除湿モードを解禁とした。キャンプ企画もひとつ進行中だ。昨年の夏の思い出はまったく覚えていないけれど、今年はオリンピックの自宅観戦も含めて、いい意味で、やばい夏になりますようにとエアコンをつけずともいい風が吹きぬける事務所で願う。って、やっぱ熱いな。エアコンつけて、強くやっぱり、そう願います(唐澤和也)